春に眠くなるのはなぜ?
睡眠トラブルの原因や簡単にできる
眠気対策を解説
2025.3.26
- # 睡眠
- # トラブル
春は暖かくなるからついつい眠たくなっちゃうよね〜。
そんな時の解決策を紹介するよ!
春は、暖かく過ごしやすい日が増えて、活動的になる季節です。
しかし、「日中に眠くなる」「朝起きられない」など、春の眠気に悩んでいる方も少なくありません。
強い眠気は、仕事や学業のパフォーマンスを下げたり、心身の健康に影響を及ぼしたりと、日常生活に支障をきたすケースも少なくありません。
本記事では、春に眠くなる理由をはじめ、睡眠トラブルの原因や眠気対策について詳しく解説します。眠気に負けずにスッキリとした毎日を送りたい方は、ぜひ参考にしてください。
春に眠くなるのはなぜ?
春に眠くなる理由には、下記の要因が考えられます。
- 寒暖差
- ストレス
- 自律神経の乱れ
- 日照時間の変化
はじめに、それぞれの要因を詳しく解説します。
寒暖差
体内では、血液量を増やしたり、筋肉が熱を発生させたりと、エネルギーを消耗して体温調節のバランスを整えています。
寒暖差がある場合、より多くのエネルギーが消耗されるため、疲労が蓄積して眠気につながります。
春は、1年のなかで最も寒暖差が大きい季節です。日本付近に偏西風が通ると高気圧と低気圧が頻繁に入れ替わる気圧変動が起き、日々の寒暖差が大きくなります。
春に定義される3~5月の最高気温・最低気温の差は、下記のとおりです。
月 | 最高気温 | 最低気温 | 気温差 |
---|---|---|---|
3月 | 17.9℃ | 8.6℃ | 9.3℃ |
4月 | 21.7℃ | 11.9℃ | 9.8℃ |
5月 | 24.0℃ | 14.6℃ | 9.4℃ |
3~5月は平均で9.5℃もの気温差が生じており、実際、約93%の方が寒暖差を感じています。※1
ストレス
生活環境や人間関係の変化が多い春は、ストレスを感じやすいです。
ストレスを感じると、脳は現実から逃避して「解離」と呼ばれる状態になります。
解離とは心の防御本能の一つで、眠気をはじめ、疲労感・感情麻痺・健忘・フラッシュバックなどの症状が現れます。
そのほか、ストレスによりホルモンの分泌量が低下し、睡眠の質が落ちて日中に眠くなるケースも少なくありません。
睡眠の質には、メラトニンが深く関与しています。
メラトニンとは、心をリラックスさせてスムーズに眠りへと導く「睡眠ホルモン」です。通常、日中は分泌が抑制され、夜に分泌量が増加します。
しかし、ストレスフルな生活を送っていると、メラトニンが不足して眠りにくくなり、結果、日中に強い眠気を引き起こします。
自律神経の乱れ
自律神経とは、脳の視床下部・脊髄などの全身に分布している末梢神経です。交感神経と副交感神経の2種類があり、特徴と役割は下記のとおりです。
種類 | 特徴 | 役割 |
---|---|---|
交感神経 | 日中に活発になる 緊張・ストレスにも反応 |
心拍数・血圧を上げる エネルギーの消費を増やす |
副交感神経 | 夕方~夜に働く 睡眠時にも働く |
心身をリラックスさせる 睡眠を促進する |
交感神経と副交感神経は、互いにバランスを取りながら生命活動を支えていますが、季節の変わり目は、バランスが乱れやすくなるといわれています。
本来、日中のみ活発になる交感神経が夜間も優位になると、脳が覚醒して眠れなくなるため、慢性的な眠気が生じやすくなります。
日照時間の変化
日照時間によってもメラトニンに影響します。
春になり日照時間が長くなると、メラトニンの分泌は抑制される傾向にありますが、春は日照時間の変化が急激な為、メラトニンの分泌リズムが安定するまで体が適応しにくい事があります。
その為、「朝スッキリ起きられない」「夜に眠気を感じにくい」「昼間に眠くなる」といった症状が出る事があります。
睡眠トラブルが起こる原因の見分け方
睡眠トラブルには、下記が関与している場合があります。
- ストレス・不安などの心理的な要因
- 体内時計の乱れをはじめとする生理的要因
- 生活環境・習慣などの要因
次章では、睡眠トラブルの解消に役立つ方法のほか、疑われる病気について紹介します。
自身の睡眠状態を記録する
自身の睡眠状態を振り返ることで、睡眠の長さ・規則性などが把握でき、睡眠トラブルの解消に役立ちます。
睡眠状態の記録方法には、下記の種類があります。
- 睡眠日誌
- 睡眠トラッカー
- 睡眠計
- 睡眠アプリ
- ウェアラブルデバイス
項目は記録方法により異なりますが、主に就床・入眠・起床の時刻、途中で目が覚めた時刻、起床時の気分、日中の眠気の強さ、昼寝・居眠りの時間帯などです。
睡眠記録は、1~2週間程度続けることが大切です。
睡眠障害の可能性もある
眠気が日常生活・社会生活に支障をきたしている場合、睡眠障害が疑われます。
睡眠障害の主な種類は、下記のとおりです。
- 不眠症
- 過眠症
- 閉塞性睡眠時無呼吸症候群
- 睡眠時随伴症
- レストレスレッグス症候群
不眠症とは、なかなか寝付けない、夜中に何度も目が覚める、早朝に目が覚めて眠れないなどで、日中に強い眠気や倦怠感、意欲・集中力・食欲の低下などが出現する病気です。日本人の30~40%は不眠症を有しており、とくに女性に多い傾向があります。※2
過眠症の場合、夜間に十分な睡眠を確保しても、日中に強い眠気が生じて起きることが困難になります。
閉塞性睡眠時無呼吸症候群は、扁桃肥大・アレルギー・肥満などが原因の呼吸器疾患です。睡眠時の呼吸が止まり体内の酸素が不足するため、日中に強い眠気が現れます。
そのほか、睡眠中にねぼけ・夜尿・歯ぎしりなどが生じる睡眠時随伴症、足の内部に不快な感覚異常が生じるレストレスレッグス症候群なども、睡眠障害に該当します。
眠くなりがちな春の眠気対策
最後に、簡単にできる春の眠気対策を紹介します。眠気を解消したい方は、ぜひ参考にしてください。
自身のライフスタイルに取り入れて、イキイキとした毎日を送りましょう。
起床後にシャワーを浴びる
起床後にシャワーを浴びると、水流や温熱の効果で交感神経が活発になり、血圧が上昇して頭がスッキリします。
また、血の巡りがよくなることで疲労感を和らげる作用も期待できます。
シャワーは長時間浴びる必要はなく、5~10分程度で十分です。また、湯船に浸かると心身ともにリラックスモードになるため、起床時は控えた方がよいでしょう。
朝日を浴びる
朝日は、脳の覚醒作用があるコルチゾールやセロトニンの分泌を促進して、体内時計をリセットします。
体が活動モードに切り替わり眠気が解消されるため、1日を活動的に過ごせます。朝日を浴びる際は、室内より屋外が効果的です。太陽を直視しないよう気をつけながら、1日5~20分程度の日光浴をしましょう。
長時間の日光浴は、シミ・そばかすなどの肌トラブルの原因になるため注意が必要です。
昼寝をする
昼寝には、眠気を軽減する効果が期待でき、パフォーマンスの向上にもつながります。
昼寝の時間が長いと深い眠りに陥り、夜間の睡眠に悪影響を与えます。そのため、昼寝は15~20分程度が好ましいです。
昼寝をとるタイミングは、最も眠気が起こりやすい12~15時の間がよいでしょう。
また、目覚めをよくするために、椅子に座ったり、リクライニングに寄りかかったりと、完全に横にならないことも大切です。
昼寝前に、コーヒー・紅茶・緑茶などカフェインが含まれた飲み物を摂取すれば、よりスッキリ目覚められるといわれています。
香りを利用する
眠気を感じたときは、香り高いアロマを利用しましょう。
- レモン
- オレンジスイート
- グレープフルーツ
- ペパーミント
- ハッカ
レモンをはじめ、オレンジスイート、グレープフルーツなどのシトラス系のアロマには、リモネンと呼ばれる成分が含まれています。リモネンには、交感神経を刺激する作用があり、眠気を覚まして頭をスッキリさせる効果が期待できます。
また、清涼感が特徴のハーブ系アロマのペパーミントやハッカも、脳を活性化させたいときにおすすめです。
乳酸菌で睡眠の質を高める
最も有効な眠気対策は、睡眠の質を高めることです。
乳酸菌には、睡眠の質の向上に必要な腸内環境を改善する作用があります。
腸内細菌は、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンと、体内時計(概日リズム)のリセットに必要な短鎖脂肪酸の生成に関与しています。
また、腸と脳は相互に影響し合う関係です。腸内環境を整えればストレスの軽減にもつながるでしょう。
乳酸菌が多く含まれているものは、次のとおりです。
- ヨーグルト・チーズなどの乳製品
- 納豆・味噌などの発酵食品
- 乳酸菌配合のサプリメント
乳酸菌は、一度に大量に摂取しても体外に排出されるため、毎日継続して摂り続けることが大切です。
まとめ
本記事では、春の眠気の原因・対策を中心に解説しました。
春の強い眠気には、寒暖差・ストレス・自律神経の乱れが関与しているケースが多いです。
また、睡眠の質が低下していることも考えられます。
睡眠の質の向上には、生活環境・習慣などの改善や乳酸菌の摂取が効果的です。
心も体もスッキリさせて、春を十分に楽しみましょう。
監修:渡邉智成
渋谷内科・スキンケアクリニック院長で医学博士。
2005年に順天堂大学医学部卒業後、腎臓内科を専門に研鑽を積み、池上総合病院腎臓内科科長や湯島三和クリニック院長を歴任。2022年に同クリニックを開院し、内科診療と美容医療を提供。総合内科専門医・腎臓専門医・透析専門医など多数の資格を持つ。患者が気軽に相談できる環境づくりを大切にし、丁寧で分かりやすい診療を心掛けている。