お餅は血糖値が上がりやすい?
急上昇させない食べ方や
ヘルシーレシピを解説
2024.12.26
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お正月といえばお餅だよね!
でも、血糖値の上昇には注意した方がいいかも・・・
お餅は、手軽に食べられる栄養価の高い食材として、古くから日本人に親しまれてきました。
お餅には、体を温めて新陳代謝を促す効果が期待できるビタミンB1と、むくみの予防・改善をサポートするカリウムが含まれています。ただし、これらの含有量は他の食品に比べて突出して多いわけではありません。※1※2
一方、炭水化物や脂質も多く含まれているため、血糖値を上げやすい性質があります。しかし、お餅の食べ方を工夫すれば、血糖値の急激な上昇の抑制が可能です。
本記事では、お餅と血糖値の関係をはじめ、お餅が太りやすいといわれる原因、血糖値を上げないお餅の食べ方やお餅アレンジレシピなどを詳しく紹介します。血糖値が気になる方はもちろん、ダイエット中の方もぜひ参考にしてください。
お餅と白米、
どちらの方が血糖値が上昇しやすい?
食後は、摂取した食べ物に含まれる糖質がブドウ糖に分解され、血液中に移行するため、血糖値が上昇します。
血糖値の上昇は「GI値」と呼ばれる指標で示し、一般的に下記の3つに分類されます。
- 高GI食品:GI値が70以上
- 中GI食品:GI値が56~69
- 低GI食品:GI値が55以下
日本Glycemic Index研究会の報告によると、お餅と白米はともにGI値が83以上の高GI食品であり、同じくらい血糖値が上昇しやすいといえます。※3
しかし、京都府立大学と京都大学の共同研究では、お餅の原料であるもち米のGI値は48~94と幅広く、種類により大きく異なることが明らかにされています。※4
お餅は太りやすいといわれる原因
お餅は太りやすいといわれる主な原因は、次のとおりです。
- 大量に食べてしまう
- 味付けのカロリーが高い
- 食後に運動しない
次章でそれぞれの原因について、詳しく解説します。
大量に食べてしまう
お餅は、ほどよい弾力感で食べ応えがあるため、主食はもちろん、おかずやおやつにも最適です。しかし、お餅は白米1膳分(お茶碗1杯分)と同じくらいカロリーがあるため、食べ過ぎると体重増加につながります。
下記は、お餅と白米の成分比較表です。
カロリー | タンパク質 | 脂質 | 炭水化物 | |
---|---|---|---|---|
お餅(100g) | 223kcal | 4.0g | 0.6g | 50.8g |
白米(150g) | 224kcal | 3.8g | 0.5g | 55.7g |
(参考:文部科学省 食品成分データベース|[もち米製品]/もち、[水稲めし]/精白米/うるち米)
お餅(100g)は、切り餅2個分です。カロリーは223kcalと白米1膳分相当に当たり、調理方法やトッピングによりさらに高くなります。
1~2個では物足りなく、ついつい食べ過ぎてしまいがちですが、お餅はカロリーの密度が高いため、適量を意識しましょう。
味付けのカロリーが高い
お餅は、定番の醤油と海苔以外にも、あんこ、きなこなどの甘味系や、砂糖醤油、バター、チーズ、マヨネーズ、七味唐辛子など、味付けのレパートリーが豊富です。しかし、砂糖は糖質が高いため、カロリーと糖質が気になる方は、砂糖を多く使用している食材は避けましょう。
とくに、下記のお餅はカロリー・糖質ともに高いため、注意が必要です。
種類 | カロリー | 糖質 |
---|---|---|
あんこ餅(つぶあん40g) | 319kcal | 70.12g |
砂糖醤油餅 (醤油大さじ1,砂糖大さじ1) |
297kcal | 61.16g |
安倍川餅(きなこ餅) | 254kcal | 53.22g |
バター餅 | 231kcal | 43.07g |
※1人前(2個)
(参考:カロリーSlism|あんこ、安倍川餅、醤油、砂糖、バター餅)
カロリーが高いお餅を食べるときは、量を減らして摂取カロリーをコントロールするよう、心がけましょう。
食後に運動しない
インターネット調査によると、お餅を食べる時期について「お正月に食べる」と回答した方は61.8%と、「お正月やお祝い事があるときに食べる」は7.9%でした。※4
お正月は、お餅をはじめ、お酒、おせち料理、スイーツなどの摂取量が増えますが、長い休暇中は出勤・通学する必要がなく、さらに寒さで外出する機会も減ります。そのため、運動不足に陥り「正月太り」が引き起こされることも、お餅は太りやすいといわれる要因の一つです。
血糖値を上げないお餅の食べ方
ここで、血糖値の急な上昇を抑えるお餅の食べ方を紹介します。健康に気を使いながらも、美味しくお餅を食べたい方はぜひ参考にしてください。
消化を遅らせる食材を摂る
急激な血糖値の上昇を防ぐために、消化を遅らせる食材を積極的に取り入れましょう。
水溶性食物繊維には、食べ物の消化吸収を遅らせて、食後の血糖値や血液中の中性脂肪上昇を穏やかにする働きがあります。
水溶性食物繊維を多く含む食材は、次のとおりです。
- 海藻類(昆布、わかめ、ひじきなど)
- 芋類(こんにゃく、山芋、里芋など)
- 野菜(にんじん、ごぼう、モロヘイヤなど)
- 果物(いちご、みかん、アボカドなど)
そのほか、納豆や豆腐などの大豆製品、チーズ、卵、牛乳などに含まれるタンパク質にも、血糖値の上昇を抑制する作用が期待できます。
食べる量を調節する
お餅を食べる際は、食べる量を決めましょう。
主食として食べる場合、白米1膳分と同程度のカロリーである2個程度が好ましいです。運動量が多い方でも3個までに抑えましょう。また、よく噛むことで満腹中枢が刺激され、食欲が抑えられます。
栄養バランスを考えて、お餅以外にもおかずを用意し、よく噛みながら時間をかけて、血糖値の上昇スピードを緩やかにしましょう。
食べる順番を意識する
一般的に、血糖値を急に上げないためには、はじめに野菜を食べて、次いでタンパク質、炭水化物の順番がよいとされています。
お餅は炭水化物に分類されるため、食事は食物繊維が豊富な野菜・海藻類などからスタートします。そして、大豆製品や発酵食品などでタンパク質を摂取し、最後にお餅を食べて血糖値の上昇を緩やかにしましょう。
血糖値上昇を抑える
お餅アレンジレシピ3選
最後に、血糖値が上がりにくいお餅のアレンジレシピを紹介します。お餅を美味しく健康的に食べたい方は、ぜひ参考にしてください。
さっぱりおろしポン酢
胃腸の働きをサポートする消化酵素が含まれた大根と、タンパク質が豊富なツナ缶を使用した、「さっぱりおろしポン酢」のレシピを紹介します。
【材料】
- お餅
- 2枚
- 大根
- 100g
- ツナ缶
- 30g(1/3缶)
- ポン酢
- 大さじ1/2
耐熱容器にお餅とお餅が浸る程度の水を入れて、電子レンジで2分半ほど加熱します。お餅全体が膨らむまで十分に加熱しましょう。
大根をおろして、ツナとともにお餅にのせ、ポン酢をかけたら完成です。お好みで、カイワレ大根やネギなどをトッピングしましょう。
具材たっぷりのお雑煮
食物繊維をはじめ、タンパク質、アミノ酸などが多く含まれた食材を使用し、満腹感を満たす「具材たっぷりのお雑煮」のレシピは、下記のとおりです。
【材料】
- お餅
- 1個
- 鶏モモ肉
- 50g
- かまぼこ
- 2枚
- 小松菜
- 1/4株
- にんじん
- 1/4本
- 椎茸
- 1/2本
- 大根
- 1cm
【だし】
- 水
- 1カップ
- 酒
- 小さじ1
- 醤油
- 小さじ1/2
- 刻み昆布
- 2g
刻み昆布は、予め水に浸けて戻します。お餅は、トースターで焼け目がつくまで5分程度焼きましょう。
鍋にだしの材料を入れ、沸騰したら鶏モモ肉、にんじん、椎茸、大根を加えて煮ます。最後に、かまぼこと小松菜をさっと煮て完成です。
餅入り鶏つくね
お餅は、低カロリー・高タンパクの鶏肉と相性抜群です。ボリュームたっぷりで満腹感が得られるため、お餅の摂取量が抑えられます。
【材料】
- お餅
- 1/5個
- 鶏ひき肉
- 50g
- 卵
- 1/2個
- 玉ねぎ
- 1/8個
- パン粉
- 大さじ1
- 塩・コショウ
- 適量
玉ねぎをみじん切りに、お餅は3mm程度の厚さにスライスしてボウルに入れます。鶏ひき肉、卵、パン粉、塩・コショウを加えてよくこねて、お餅を包みます。
フライパンのうえで片面を弱火で焼き、裏返したあと水を少々加えて中火で蒸し焼きしたら、完成です。
まとめ
本記事では、血糖値を上昇させないお餅の食べ方を中心に解説しました。
お餅は、白米と同様に高GI食品であるため、食後の血糖値が上がりやすいといえます。とくに、カロリーの高い味付けをする際は、食べ過ぎないことが大切です。
お餅を食べるときは、血糖値の上昇を穏やかにする食材を取り入れたり、食べる順番を意識したり、工夫して血糖値の急な上昇を抑えましょう。
監修:武井香七(管理栄養士)
神奈川県平塚市に生まれ、祖母が80歳近くまで働いている姿に感銘を受け栄養士の道を目指す。現在は管理栄養士の資格を持ち、健康や日々の生活に対して正しいことを伝えられる。導ける存在になりたいと強く思いウェルネス事業をメインとした株式会社WellnessLeadの代表をしている。企業の新商品開発や一般向け栄養指導などの栄養士事業とエクソソーム等クリニックと連携した再生医療事業を軸にしている。