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自律神経を整える食べ物を栄養素別に解説!
悪影響のある食品や食事のコツも紹介

2024.5.20

  • # 自律神経
  • # 食べ物
  • # 栄養について

自律神経って食べるものでも違いがでるって知ってた?
食事のコツを押さえれば心も身体もリラックスできるかも⁉

「自律神経を整えてイライラや不安感を改善したい」
「自律神経を整える栄養素には何があるのか」

上記のようなお悩みや疑問を抱えている方もいるでしょう。
もしかすると不調の原因は、普段の食生活における栄養の偏りなのかもしれません。

本記事では、下記の内容について解説します。

自律神経を整える生活習慣についてもあわせて解説するため、ぜひ参考にしてみてください。

自律神経の乱れとは

自律神経の乱れとは

私たちの身体には、呼吸や心拍、消化などの生命維持に欠かせない機能を調節する「自律神経」があります。
自律神経の乱れとは、自律神経を構成する交感神経と副交感神経のバランスが崩れ、身体の機能がうまく調節できない状態のことです。ストレスや不安、生活習慣の乱れなどにより自律神経のバランスが崩れると、精神面や身体面においてさまざまな症状があらわれます。

交感神経と副交感神経の
バランスの乱れ

自律神経は全身の器官を自動制御する神経系で、「交感神経」と「副交感神経」から成り立ちます。「交感神経」は身体を活動モードにする神経系で、「副交感神経」は身体をリラックスモードにする神経系です。
健康な状態では両者がバランスを取り合い、呼吸や心拍、体温などの維持をしています。

しかし、過度なストレスや生活習慣の乱れなどにより自律神経のバランスが崩れると、だるさや頭痛、イライラ、不眠などのさまざまな症状があらわれるでしょう。
自律神経の乱れによってあらわれる、さまざまな症状を総称して「自律神経失調症」といいます。

自律神経が乱れる4つの原因

自律神経が乱れる原因は、主に次の4つです。

  • ストレス
  • 不規則な生活習慣や食事
  • ホルモンバランスの乱れ
  • 病気の影響

仕事や人間関係などによる強いストレスを感じたり、食事や睡眠などの生活習慣が乱れていたりすると、自律神経のバランスが崩れる恐れがあります。
また、ホルモンバランスの乱れも自律神経のバランスに影響する場合があります。
そのため、女性ホルモンが急激に減少する更年期では、個人差があるものの、自律神経の乱れによる不調があらわれやすいといえるでしょう。

さらに、心身の病気によっても、自律神経が乱れる場合があります。
病気が原因の場合、セルフケアのみで自律神経を整えることは難しいため、疑わしい場合は医療機関の受診がおすすめです。

自律神経の乱れでみられる症状

自律神経の乱れでみられる症状には、主に次のものがあります。

身体症状

  • 頭痛
  • めまい
  • 動悸
  • 吐き気
  • だるさ
  • 疲れ
  • 便秘
  • 下痢 など

精神症状

  • イライラ
  • 不安
  • 不眠
  • 集中力の低下
  • やる気の低下
  • 緊張感の高まり など

自律神経はさまざまな臓器や器官のはたらきを調整しているため、バランスが崩れると、身体的、精神的問わずさまざまな不調があらわれる可能性があります。

普段からなんとなく感じている不調は気のせいではなく、もしかすると自律神経の乱れによるものかもしれません。

【栄養素別】自律神経を整える食べ物

【栄養素別】自律神経を整える食べ物

ここでは、自律神経を整える食べ物を栄養素別に解説します。

自律神経を整えたいものの、具体的に何を食べたらよいかがわからない方は、ぜひ参考にしてみてください。

【GABA】トマト・玄米など

GABA(γ‐アミノ酪酸)はアミノ酸の一種で、脳や神経の中で働く神経伝達物質です。
GABAには神経の高ぶりを抑える作用があり、リラックス効果が期待できます。

GABAを多く含む食べ物には、主に次のものがあります。

  • トマト
  • 玄米
  • なす
  • キムチ
  • 漬物
  • 味噌 など

GABAの1日の摂取量の目安は、成人で30mg程度です ※1

バランスのよい食生活を送っていれば基本的に不足する心配はありませんが、自律神経を整えるために欠かせない成分のため、積極的に摂取しましょう。

【トリプトファン】
乳製品・大豆製品・バナナなど

トリプトファンとは、体内では生成できない必須アミノ酸の一種で、「セロトニン」の原料となる成分です。セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれており、ストレスを抑制したりリラックスさせたりといった作用があるため、自律神経のバランスの調整に役立ちます。

セロトニンの材料となるトリプトファンが豊富な食材には、主に次のものがあります。

  • 乳製品
  • 大豆製品
  • バナナ
  • 穀類
  • 鶏むね肉
  • レバー
  • マグロ など

トリプトファンは体内で生成できないため、上記のような食材から積極的に摂取しましょう。

【たんぱく質・ビタミンB6】
魚類・脂身の少ない肉類など

神経の高ぶりを抑える「GABA」や「セロトニン」を体内で増やすためには、両者の合成の際に必要な「ビタミンB6」の摂取がおすすめです。

ビタミンB6はたんぱく質が豊富な食材に含まれることが多いため、意識して摂取しましょう。

たんぱく質やビタミンB6が豊富な食材には、主に次のものがあります。

  • 魚類
  • 脂身の少ない肉類
  • 酒粕
  • ごま など

忙しくてどうしても食生活が偏りがちな方は、ビタミンB6が配合されたサプリメントを併用しながら栄養補給をするとよいでしょう。

【ビタミンC】野菜・果物類など

ビタミンCは、ストレスを感じるとそれに対抗するため分泌される、抗ストレスホルモンのドーパミンやアドレナリンなどの合成に関わっています。
ビタミンCはストレスにより消費されやすく、体内での合成もできないため、積極的な摂取が必要です。

ビタミンCが豊富な食材には、主に次のようなものがあります。

  • ブロッコリー
  • パプリカ
  • レモン
  • イチゴ など

ビタミンCは加熱により壊れやすい栄養素であるため、果物などの場合はなるべく生の状態で摂取するとよいでしょう。

【食物繊維】さつまいも・きのこ類など

食物繊維には便のカサを増やす、便をやわらかくするなどの作用があるため、腸内環境の改善に役立ちます。
脳と腸は自律神経やホルモンなどを通じて互いに影響し合っているため、腸内環境を整えることは自律神経の調整にもつながります。

食物繊維を含む食材は、主に次のものです。

  • イモ類
  • キノコ類
  • 穀類
  • 海藻類 など

食物繊維は日本人の食生活の中で不足しやすい栄養素であるため、意識的に摂取し、腸内環境を正常に保ちましょう。

自律神経のために控えたい成分・食品

自律神経のために控えたい成分・食品

自律神経のバランスを整えるためには、トランス脂肪酸やカフェイン、アルコールなどの過剰摂取を避ける必要があります。
まったく摂らないことは難しくても、少しずつ減らす意識を持ちましょう。

トランス脂肪酸を含む食品

トランス脂肪酸とは、ショートニングやマーガリンなどに多く含まれる人工的につくられた脂肪酸です。
トランス脂肪酸は健康に悪影響を及ぼす成分として知られており、海外の研究によると冠動脈疾患や肥満、アレルギー疾患の発症などにも影響するといわれています。

トランス脂肪酸が含まれやすい食べものには、主に次のものがあります。

  • ケーキ
  • ドーナツ
  • 菓子パン
  • 揚げ物
  • インスタントラーメン
  • スナック菓子 など

外食や加工食品には、とくにトランス脂肪酸が多く含まれる傾向があるため、なるべく自炊を心がけるとよいでしょう。

カフェインを含む飲み物

カフェインには神経を興奮させる作用があるため、過剰に摂取すると動悸や吐き気、興奮、めまい、不眠などを引き起こす可能性があります。カフェインは、コーヒーやエナジードリンク、紅茶などに多く含まれます。
仕事や勉強に集中するため習慣的に飲んでいる方は、過剰摂取に気をつけましょう。

過度なアルコール摂取

適度な量のアルコールにはリラックス効果があるといわれていますが、過剰に摂取すると交感神経を刺激して自律神経を乱す恐れがあります。アルコールを飲む機会が多い方は、水(チェイサー)の量を増やしたり、食べ物を食べたりしてから空腹時を避けて飲酒するとよいでしょう。

枝豆やチーズなどのおつまみを先に食べると、胃腸の粘膜を保護し、身体への影響を少なくする効果が期待できます。

自律神経を整える食事・生活習慣

自律神経を整える食事・生活習慣

ここからは、自律神経を整える食事や生活習慣について紹介します。

自律神経は食生活や運動、睡眠などの生活習慣に影響されやすいため、普段の生活スタイルを一度見直してみるとよいでしょう。

バランスのよい食事で
栄養素不足を解消

食生活が乱れていると、摂取できる栄養素が偏るため、自律神経のバランス調整に必要な栄養素が無意識に不足してしまう場合があります。なるべく主食、主菜、副菜をそろえ、栄養バランスのよい食事を摂ることが大切です。

普段から外食が多い方は、自炊の頻度を増やすことからはじめてみましょう。

善玉菌を増やす食材で腸内環境改善

腸と脳は自律神経やホルモンを通じて互いに密接に関係しているため、腸内環境が整うと自律神経も整いやすくなります。

とくに便秘や下痢などの症状にお悩みの方は、腸内環境を整えるような生活習慣を心がけるとよいでしょう。

自律神経を整えるための腸内環境改善には「善玉菌」のはたらきが重要です。

そのため、善玉菌を多く含む食材や、善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖を含む食材を積極的に摂りましょう。

善玉菌を多く含む食材

  • ヨーグルト
  • チーズ
  • 納豆
  • キムチ など

善玉菌のエサとなる食材

  • ヨーグルト
  • チーズ
  • 納豆
  • キムチ など

腸内環境を整え、自律神経のバランスを整えるためには、善玉菌の継続的な摂取が重要です。

適度な運動でストレス解消

自律神経を整えるためには、無理せず続けられる運動(ウォーキングやジョギング、ヨガ、ストレッチなど)もおすすめです。負荷が高すぎない運動をおこなうことで副交感神経が刺激され、自律神経のバランスが整いやすくなります。

起床後に日光を浴びながら身体を動かすと、リラックス効果をもつホルモンであるセロトニンが生成されやすくなります。

激しい運動はかえって交感神経を活性化させるため、軽めで継続しやすい運動を選ぶとよいでしょう。

良質な睡眠・入浴でリラックス

良質な睡眠や入浴も、自律神経を整えるための工夫のひとつです。普段の睡眠時間や睡眠の質を一度振り返ってみましょう。

睡眠中は副交感神経が優位に働くため、睡眠不足や睡眠の質の低下などがみられると、自律神経のバランスを崩す恐れがあります。寝る直前までスマートフォンやパソコンを見る習慣がある方は、覚醒作用のあるブルーライトを避けるために、寝る2時間ほど前までには使用を控えましょう。

また、入浴時はシャワーで済まさずに湯船に浸かると、副交感神経が優位になり、眠りやすくなる効果が期待できます。

適量のアルコール摂取・禁煙

過剰な量のアルコール摂取は交感神経を刺激し、自律神経を乱す原因となるため、適量を意識しましょう。

アルコールの適度な摂取量は次のとおりです ※2

  • ビール:中瓶1本(500mL)
  • 日本酒:1合(180mL)
  • ワイン:1杯(120mL)
  • ウィスキー:ダブル1杯(60mL)

また、喫煙習慣がある方は、不調を減らすために禁煙を心がけましょう。
タバコに含まれるニコチンは交感神経を過度に刺激し、自律神経を乱す原因となるためです。

自律神経を整える食事・生活習慣

本記事では、自律神経を整える食べ物や、自律神経を整えるために控えたい食品などについて解説しました。

自律神経を整える栄養素にはビタミン類やたんぱく質、食物繊維などさまざまな種類があるため、日頃から栄養バランスのよい食事を摂ることが大切です。
また、自律神経は食生活の乱れ以外にも、ストレスや運動不足、睡眠不足などによっても引き起こされるため、乱れがちな生活スタイルの見直しも重要です。

生活習慣の工夫で自律神経のバランスを整え、つらい不調に悩まない日々を過ごしましょう。

profile

管理栄養士 松浦ひとみ

大学にて応用栄養学、食品科学に加え栄養教育など幅広く学び、管理栄養士免許、栄養教諭免許を取得。卒業後、給食提供だけでなく、食育、アレルギー対応、離乳食講座や食事の指導・相談・提案などへ重点的に取り組む保育園の管理栄養士として勤務。さらにオンラインフードクリエイターの資格取得後は、フードライターとして料理写真の撮影やWeb上メディアにて記事執筆、レシピ開発・監修のほか、オンライン食事指導など、フリーランス管理栄養士として活動する。

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